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【石油ガス開発上流事業支援】今後も注目すべき探鉱コンセプトとしてのプレソルト(Pre-Salt)

2022年 4月 21日

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阿久津 亨(技術推進部 主幹)



ネットゼロへ向けて再エネ等各種の取組みがなされるものの、どのようなGHG削減シナリオを取っても一次エネルギー需要予測の2050、2060年断面において化石エネルギーは必須の主要エネルギーである。 ひとたび再エネによるエネルギー供給の遅延が懸念されれば、石油天然ガス価格は急騰し世界が混乱することは昨年経験したことである。 さらに現在はウクライナ侵攻による混迷によって非ロシアからの化石燃料の調達が求められている。 石油天然ガス開発には長期の時間を要し、需要の急騰に即座に応えることはできないが、長期展望を見据え、上流開発会社は毎年投下する資本の多寡はあれ継続的に探鉱開発を維持することが求められる。

報告者は数年前、今後の石油天然ガスの探鉱における注目すべきターゲットとして、未だに多くのポテンシャルを有する探鉱プレイを紹介した。 これまで報告者は、英国、米国、南米、中国、インドネシア、国内等の多くの探鉱プロジェクトを担当し、その経験の中からシール(帽岩)の重要性やソルト(岩塩)のシール能力の高さに注目し、「今後最も注目すべき探鉱プレイとしてのプレソルト」を報告テーマとしてまとめた。

プレソルト(Pre-Salt)の名前の由来は、ソルトがシールとなっている油・ガス田の貯留岩(探鉱対象層)がソルトの下部(ソルトの堆積前)にあることから、プレソルトと呼ばれている。
炭化水素集積におけるシールの重要性(近年の探鉱不成功の大きな要因の一つにシール能力欠如が挙げられている)、厚いソルトがシールとなっている巨大フィールドの例としてカザフスタンカスピ海北部のカシャガン油田、ブラジルサントス盆地のトゥピ、リブラ油田の紹介、ソルトの物性的特性(石油探鉱的にはシールと構造形成等に貢献)、世界のソルト堆積盆地の地質的分類、ソルト堆積盆地の具体例(地中海東部、東シベリア、西アフリカ、カナダ東岸)を紹介した。





4~5年前の他IOCの動向としては、ExxonMobil社がメキシコ湾(GOM)の大水深から撤退しブラジルのプレソルトに投資を集中、ノルウエーのEquinor社が大水深プロジェクトの拠点をノルウエーとブラジル・プレソルトに向けるなど、メジャーと呼ばれる企業のほとんどがブラジル・プレソルト狙いを中心においた。 プレソルトの優位性(特にブラジル・プレソルトの高生産性)から探鉱ポテンシャルは依然高いものと思われ、参入コストはやや高いものの、注目を継続するに値すると思われる。
(以上)

免責事項:本稿は著者の個人的見解であり株式会社INPEXソリューションズの見解ではありません。